一章九話 不穏
最近の鬼隠町はまるで自然が浄化を拒んだかの様に淀んだ空気が流れていた。
普段、昼間は余り出歩かない音樹子であったが、花街の様子が気になり、自ら様子を見回っていた。
稲葉屋では京が玄関先を溜め息をつきながら箒を動かしていた。
音「お京ちゃん。」
京「姐さん…。」
音「溜め息なんてついて…らしくないわよ。」
京「そうなんだけどさ。この底抜けに明るい町がすっかり雰囲気悪くなっちまって悲しいよ😩。
あいつら最近では大物の後ろ盾が出来たらしくて、花街の隣にある倉庫を改築してそこで芝居やって書物やら人形を模した物とか売るんだと。文化人形を専門で作ってた広小路さんは妨害行為だって脅されてるらしいし、李も脅されたみたいで急におとなしくなった。
どうなっちまってるんだろうね。」
音「そうね…困ったものね…。」
京「はぁ・・・😮💨。
何を後ろ盾に捕まえたのか知らないけど、幅利かせやがって本当に腹が立つ💢。」
音「…お京ちゃん、潮吹き面の旦那は来る予定ある?」
京「あ〜りくの客のひょっとこかい?明日来るって言ってたよ。」
音「そう☺️じゃりくに会ってから帰るわね。」
京「何時ものとこにいるよ。……姐さん」
音「何?」
京「頼むね…」
京の真剣な眼差しを受け音樹子はゆっくりと優しく微笑んだ。
何時もの中庭には猫が何匹も集まっていた。
その中で一匹ずつ猫に餌を与えるりく。
あれ・・・今日ははち、いないのかな。
辺りを見回してもはちの姿がない事を気にしながらも、他の猫達が餌をねだるので、りくはまた餌やりを続けた。
りく。千枝ちゃんの様子は?
姐さん、昼間に来るなんて珍しいね。
千枝なら志津と一緒にいる。
最近ちょっと様子変わって来たよ。
そう…。
潮吹き面の旦那、明日来るんですって?
そう言ってたよ。
しっかり状況伝えて置いてね。そろそろだから…。
わかった。
あ、はち、戻ったのね。
姿を現したはちは何かを訴えるように鳴きながら前脚でりくの膝を掻いた。
その様子に何かを察したりくと音樹子。
え・・・‼︎まさか…‼️
仕立て屋にて
…って訳でネ。
あの人形のちぃちゃんは救ってあげたいんだヨ。
うん、判った。姐さんと準備しておくよ。
俺一人でも出来るなら直ぐにでもやってあげたいけど、姐さんの力が必要だからなぁ。
姐さんも姐さん一人では出来ないからな。
もう間も無くだろうからそれまでは何とか持つだろう。
無茶させたらそうとも限らないのが怖いとこだネ。
それまではしっかり見張らないと…。
そうそう。大事なこと忘れてた。
銀ちゃんに頼まなくちゃ…。
アレ?
そう、アレ。
アレかぁ。俺は触りたくもない代物だよ😩。
別に手で触っただけなら何も起きないよw
それに斎蔵さんに塗ったりしないからwww
やめてくれー💦
言っといてあげるヨ😊
有難う😁
その時だった。外でカラスの喧騒が聞こえた。
玄だっ!!
何があった?!
夢路があわてて外に飛び出すと、玄が肩の上に乗って来た。
他の面々も外に出て来てしばし玄と夢路の様子を見て待っていた。
りくが…りくが刺されたって…。
何だって?!
行って来るわ!!
玄案内してくれ。
外は茜色に染まりつあった。
やがてまた夜が来る・・・。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません