一章十話 陽が沈む前
和泉屋にて
清「劉蘭ちゃん、仕込みはしといたし今晩私がいないのは相手先に伝えてあるからあと宜しくね。」
劉「はぁい。後は任せて。行ってらっしゃい😊」
清「何時も有難うね。」
劉「なんの😁。」
清は劉蘭にそう言うと奥へと下がった。
劉蘭は清とは同業でお互い何かあると代わりを勤め会う間柄だったが、龍蘭が清の裏の顔について触れる事はなく、恐らく気付いていて知らないふりをしているのだろうと思えた。龍蘭は清にとって何時も要請に応えてくれる有り難い存在だった。
清は自分に籠ると道具の手入れをし、身体の痛む箇所をしっかりと晒しで整えた。
そして銀に用意して貰った薬を飲み、身体をほぐす様に入念に動かすとパンっと顔を叩いて小さく言った。
うん、大丈夫😁
織音座にて
その日は遊吉と恭輔にとって織音座最後の興行の日でもあった。
だが肝心の人形は前日浄化されてるのだから当然の如く喋る事はない。何を言っても何をしても反応しない人形に遊吉はイライラしていた。やむなく恭輔が声色を変えて即興で台詞を言ったが、それが更に遊吉のイライラを増大させ、結句その猿芝居に客が怒り出して怒号や物が飛び交い、龍によって打ち切られる様に最後の興行が終えられた。
遊吉は暴れかけた所を龍の「下がれ」の一喝に黙り込み、ドカドカと足を踏み鳴らしながら舞台を後にした。そして恭輔は怒号の中、人形やら机やらを手に持ちそそくさを舞台から下がって楽屋へと戻った。
楽屋にいた遊吉は恭輔を見るなり怒鳴りつけた。
遊「お前、ほんと最悪だなっ💢俺と一緒にやってたいならもう少し何とかしろ‼︎このクズ‼︎」
恭「お前、それ言い過ぎやで。急に振られたって話せるかって…」
遊「ちぃちゃんが喋らない事位想定しておけやっ💢」
恭「何や、お前だって想定してなかっただろうが😠」
遊「うるせぇ‼️帰るっ💢」
恭輔に真髄を突かれて言い返せなくなった遊吉は、近くにあった椅子を蹴飛ばすとひったくる様に荷物を持ち楽屋を出て行った。
残された恭輔は椅子を元に戻しながらぶつぶつと文句を呟いていたが、様子を見に来た龍の姿に気付き、「最後にこんな事になってすみません。お世話になりました」と頭を下げ最後の挨拶をした。
苦笑いの龍が一言「お疲れ様」と言い、気まずい雰囲気に恭輔は逃げ出す様にもう一度頭を下げ、荷物をまとめ楽屋を出た。
恭輔、飛んだ最後になったな。
恭「夢路さん・・・☹️。」
夢「これでもまだ続けるのか?」
恭「何ですか。わざわざそんな事言いに来たんですか😠。」
夢「龍湖が日が暮れたら何時もの所に来てって言ってたぜ。」
恭「え・・・😳。龍湖が?」
夢「龍湖から誘うなんて珍しいだろう?行った方がいいぜ( ̄ー ̄)。」
恭「あ・・・すみません。」
夢路はにやりと意味深な笑みを浮かべてその場を去った。これまで恭輔は龍湖と会いたい時は恭輔馴染みの銘酒屋に行っていた。その龍湖が自ら誘って来た事に驚いた恭輔はその先を期待して夢路の笑みの意味まで気付く事はなかった。
稲葉楼にて
り「千枝、今日あいつ来るんでしょう。私代わるからね。」
千「え・・・。もしかして・・・」
り「☺️そう言う事。ひょっとこはあなたが相手してて。志津も一緒に頼むね。」
志「ひょっとこ…😅。潮吹き面の旦那ね、わかったわ。」
り「千枝…まだ未練あるの?」
千「…恋慕の心は断ち難いけど、りくを傷つけた事は許せない。だからもういい。」
り「そうだよ。この際もうキッパリ断ち切りな。」
千「うん…😔。」
京「りく、気張ってな。」
ありがと😁
仕立て屋にて
さて、嘉太郎さん、僕達はどうしましょうかね。
千知はちょっと幼い感じの二枚目が好み💕
嘉太郎さん、夢さん男版w。
僕は夢路ほど手練れじゃないヨ。
夢さんとは手練れの中身が違います😊。
あぁ…かもネ☺️。
では僕は雑魚共を…☺️
貯まってる?
そりゃあもう・・・。
たまやにて
環、稲葉楼への手筈は整えたからね。
はーい、姐さん😊。
今日は石蔵に仕込んであるからね。
うふふ☺️楽しみ♫
環ったら・・・(笑)。
番所にて
姐さんが潮吹き面の旦那に話つけたら向かうから。
了解。こちらも準備は整ってる。
そう言えば箏の様子は?
りくの怪我は見た目ほどではなかったと言う事にしてある。
ちょっとは安心した様だよ。
箏も被害者だからなぁ。
りくが被害届出さなかったからお咎めなしって方向にはなってるけど、今度は箏が狙われかねないから、理由つけてまだ留置してる。
そうか。
ほんとにもう懲り懲りだな。
あぁ。でも今日で終わりさ。
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